“旭川・りんくるライン”がウッドデザイン賞優秀賞林野庁長官賞を受賞しました

「旭川りんくるライン」がウッドデザイン賞優秀賞林野庁長官賞_ハートフルデザイン部門を受賞しました。岡山県真庭市を流れる旭川沿いに整備された、川東公園休憩施設を含む、旭川・りんくるライン全体での受賞です。サイクリングロードの周辺施設整備設計として、休憩スペースや家具、看板、路面サイン、東屋、ロゴ、マップデザイン、住民ワークショップを担当しました。
川沿いのサイクリングロードに数珠つなぎにつくった、小さな木造+木の家具で設える居場所と環境。「サイクリングの開放感と地域の自然、景観を堪能するにふさわしい体験装置としての環境デザイン」との講評をいただきました。小さな場所の、点々とした連なりですが、裏感のあった川沿いをひっくり返してくような、プロジェクトに育っています。

江真コンサルティング新社屋

基本実施設計監理,愛知県知多市,2022.03
新築,木造(CLT+在来),2階建,延床 140.41m2 , 事務所+倉庫

統括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原,深川,田村)
構造設計監理:株式会社構造計画プラス・ワン
設備設計監理:株式会社アイ設計
施工:吉富工務店株式会社
写真クレジット:鈴木研一(特記以外全て)

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木材利用優良施設コンクール2022 優秀賞 入選 (木材利用推進中央協議会)
ウッドデザイン賞2022 受賞 (日本ウッドデザイン協会)ウッドデザイン賞受賞作品データベース

CLT パネル工法+ 在来工法によるコンパクトな木造オフィスの新築プロジェクトです。日独でコンサルティングや輸入、森林や木材に関わる業務も行うクライアントは、新オフィスの計画に際してCLTや木釘の採用、認証など様々なチャレンジを希望されていました。それらのご希望を最大限に反映し、事務所+倉庫の機能を合理的に満たしながら、木の穏やかさと力強さを感じられる、快適なオフィスを計画しました。

木造の構成

本プロジェクトでは、代表的な森林認証制度の一つであるFSC®プロジェクト部分認証を取得しました。CLT には静岡県の天竜産杉を使用しています。
建物は事務所部分をCLT パネル工法2 階建て、倉庫部分を在来軸組工法としました。滞在時間や作業内容等、空間特性の違いを適切に反映してコストコントロールしつつ、必要な大きさや機能を合理的に満たす木造建築です。
オフィスでは吹抜けや階段、屋根勾配など空間の高低差と連続性を生かして、光と風が通る上下階の一体感のある快適な空間としています。大きなCLT を内部は表しで用い、効果的に見せました。外からもCLT の小口がみえるように角度をつけた窓の額縁デザインは、工場加工精度の良いCLT ならではの工夫です。

認証にかかる森から建物に至るまでのトレースなどを通して、そこに立ち上がる建築の遠い背景にも意識を致すような、これからの環境と社会への責任をはたす明確な意思を体現するプロジェクトになりました。

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交通量の多い通りに面した敷地で、倉庫への搬入車両の乗り入れを想定し、2階建の事務所の奥に平屋の倉庫を配置しています。

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外壁は構造の木部材をしっかり保護する金属板葺です。横継を出さないシャープな仕上がりです。

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大きなCLTの架構の中に、在来工法の2階床を挿入するような作り方です。内部は構造を担うCLTを表しとして木の力強さと穏やかさを感じられる空間としました。在来軸組部分とは同じ木の仕上げでも、木目の強さや色合いなどの差を際立たせ、木のあり方の違いを対比的につくりました。

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奥に長い平面のなかに光や風を取り入れ、空間を緩やかに分節する中庭を設けています。

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階段や棚もCLTで構成しています。2階まで一枚で立つ大きなCLTの壁から片持ちで持出す、シンプルでCLTらしい作り方です。

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階段の踊り場はラミナ(挽き板)の積層の様子を見せるように、CLTを積み上げてつくりました。段下は引き出しとして利用しています。

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エントランスは、倉庫への搬入品を受け入れを兼ねて大きな間口を確保し、物品をストレートに出し入れのできる機能的な動線計画です。

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倉庫は在来の軸組にCLTの壁を合わせて作っています。縦木目が見える部分がCLTです。合板仕上部分にはクライアントの扱う木釘を採用しました。釘の頭が光らない穏やかな木の仕上げができ、将来の解体時の分別も低減できます。

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階段部分は吹き抜けとして、光や風をとおし、上下階のオフィスの雰囲気が伝わる一体感をつくります。左手の壁は、1階~2階の天井まで一枚のCLTを幅方向に並べて構成されています。

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屋根もCLTを表しで用い、対角に勾配をとって斜めに天井高を変化させています。大きな木の板が奥行きの長い空間に場所ごとの雰囲気の違いを生んでいます。CLTの積層面が外から見えるように、窓の額縁を外に向かって開く角度をつけて工場で加工しました。中からはCLTの厚みが見えず、木のシャープなエッジが風景を切り取っています。

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休憩スペースのキッチンは大きめにつくり、窓からの光が明るい、スタッフのコミュニケーションの場所として設えました。

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構造材であるCLTの天井面には照明や設備器具を直接つけず、木の面をすっきり維持しています。CLTの縦横の使い方は、構造への合理性を優先し、構造材としての在り方をそのまま見せています。

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階段内部に明かりが灯ると、CLTの積層小口や木目の様子が外からもよりよく見えるようになります。

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いくつもの窓から道へ木の色と光がこぼれ、木の建物であることを伝えるとともに、大きな通り沿いの街に温かみを添えています。


施工中には構造見学会や竣工見学会を実施し、プロジェクトでの取り組みをご紹介するとともに、CLTを構造とした設計事例として沢山の方にご意見を伺い、議論する機会をいただきました。

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構造ダイアグラム

撮影:ofa

 

 

津山信用金庫勝山支店

基本実施設計監理,岡山県真庭市,2021.04
新築,木(CLT+在来)造,平屋建,延床108.27m2
事務所(銀行の支店)

総括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原,深川,田村)
構造設計監理:有限会社桃李舎
設備設計監理:株式会社アイ設計
設計施工:三和建設株式会社
写真クレジット:鈴木研一

ウッドデザイン賞2021 ハートフルデザイン部門 奨励賞(審査員長賞) 受賞 (ウッドデザイン賞運営事務局)ウッドデザイン賞受賞作品データベース
木材利用優良施設コンクール2021 優秀賞 入選 (木材利用推進中央協議会)

津山市に本店を置く信用金庫の支店です。ofaは、三和建設株式会社の設計施工チームに参加しました。木材産業の盛んな真庭市勝山地域において、地域産業の魅力を伝え、後押しするとともに、地域での木材活用のきっかけとなるよう、木材を活用した店舗を建設するプロジェクトです。CLTと在来木造を合わせた適材適所の木造で、信用金庫のこれからの姿をあらわす建築をめざしました。

建物はL型の平面を、一部折板としたCLTの壁と屋根で構成し、部分的に在来木造を取り入れて、適材適所の木造建築としました。ロビーは地域交流に活用したいとのお考えもあり、大きなCLTの壁で執務スペースの「守る」とロビーの「創る」を分けながらつないでいます。自由なプランをCLT の折板を用いて、木の表情を活かして、軽やかにつくっています。Tをプリーツのように折って、強度を上げるとともに、アイコンになる印象的な形としました。大きなCLTを内部は表しで用い、効果的に見せるデザインです。


これからの信用組合のあり方として、コンサルティングに力を入れていきたいとのお考えから、ロビーは広く、通りに面して開く形としました。執務室とロビーをつなぐカウンターまわりは、仕切りをなくしてゆったりと作ろうと、奥行きが深くなる部分は屋根をプリーツのように折って強度を上げ、先端を在来木造で支えました。プリーツが方向性を持つことで、南北に視線の抜けるのびのびした空間になりました。
屋根を折ったことで屋根版CLTはt120と薄くなり、軽快な印象を作っています。
奥へ広がるロビーは執務空間と大きなCLTの壁で仕切られています。安定感のある厚みのある木の壁です。金物は隠さずに見せるようにディテールを丁寧に調整しています。建った後も、建物の作り方がわかる構成です。
カウンター内側からは北側の山並みが、来客側からはプリーツの三角形から電車や緑の景色が見える、開放感のある接客スペースです。
接客カウンターもCLTの積層面が見えるように作りました。壁の小口はできるだけ見えるように構成し、CLTの厚みや木の重なり具合が見えるように気を配っています。 北側はCLTの屋根版を在来木造の軸組みが支えていることがよくわかります。ガラスを通して内外がつながる雰囲気は、まちに開くこれからの信金のポリシーを表しています。
暮れ始めると、北側の山並みがガラスに映り、その向こうに大きな木の壁が見えます。
夜には木の温かい色合いに満ちたロビースペースが見え、通りに信金の存在と、その場所がめざす温かさを伝えてくれます。すぐ南側を鉄道がとおる敷地。上空からの写真ではプリーツ部分の長さがよくわかります。この距離を1枚もののCLTで飛ばしています。それが両端だけで支えられているのは、大判のCLTとそれを折る建築の工夫のたまものです。
施工中には構造見学会も行いました。島根大学の学生さんや企画設計施工など建築の専門家など多くの方に見学していただけました。すぐそばを鉄道がとおる難しい敷地でのCLTの建て方も、丁寧な制作打合せと現場の手配でスムーズに進みました。