特別養護老人ホームさくらガーデン

基本実施設計監理,兵庫県神戸市,2021,08
新築,RC壁式構造,2階建,延床 3819.61㎡
特別養護老人ホーム70室,ショートステイ10室,デイサービス

統括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原,深川,山下)
構造設計監理:株式会社構造計画プラス・ワン
設備設計監理:株式会社アイ設計
施工:株式会社新井組
照明デザイン:株式会社 加藤久樹デザイン事務所
グラフィックデザイン:SASA ATORIE
設計協力:はな建築事務所
写真クレジット:鈴木研一 (※)のみofa

ユニットケアへの移行に合わせ、既存施設の建替えとして計画された特別養護老人ホームです。建物はユニットケアのあり方を体現し、各ユニット及びデイサービス等のパブリックスペースと、事務所などのバックスペースがそれぞれの屋根を持ち、それらを寄せ集めた小さな集落のような配置としました。

敷地は神戸市の北端の尾根にあたります。たくさんの既存の桜の向こうに六甲の山並みを望む素晴らしい環境です。東、南側の緑豊かで見晴らしの良い方向に沿って眺望をとり、日々の暮らしに四季の変化を添えています。

全体で80室の個室を、10室1ユニットとして、1,2階に4ユニットずつ配置した構成です。ユニットの共同生活室や廊下には、入居者の方が「家」と感じていただけるように、見通しをとりながらも小さな凹凸や角度を持って、多様な場所を作っています。それぞれに居場所が見つけられるよう、セミプライベートスペース、セミパブリックスペースを離散的に配置しました。場所ごとの窓を通して見える景色が広がりと彩りをもたらしています。

住む方の健やかな毎日を支える空間と福祉の地域づくりへの貢献、職員の働きやすさが両立する、これからの福祉の場所です。

屋根を分割して低めに抑えた勾配屋根が重なる風景。建物は外断熱としました。空調負荷を下げるとともに、内部の温度変化を抑え、穏やかな環境を作っています。

大きめに張り出したエントランス庇で、車での利用者を迎えます。雨の日も安心なエントランスです。

中庭まで視線の抜けるエントランス受付カウンター。落ち着いた色合いと素材感。視線の先に中庭の明るさがあることが、安心感につながります。

地域交流スペースは中庭まで一体的に利用できるパブリックスペースです。地域の方との交流やイベントの企画など、外へ出かけにくい暮らしの中で、ハレの場として設えました。

吹き抜けでつながる1,2階。地域交流スペースのハレの雰囲気を高めるとともに、2階からもイベントに参加することができます。

中庭は普段の暮らしの貴重な外部空間として、風に揺れる葉や香りのある花が咲くなど、四季の変化を感じられる木を選んで植栽しました。

ユニット入口を玄関として、ここで靴を履き替えます。各ユニットでタイルの種類を変えて、ゆったりと家の顔になる雰囲気を作っています。

共同生活室は、できるだけ食事をこの場所で準備できるよう、大きめのアイランド型のキッチンを設えました。壁面は一部を玄関と同じタイル仕上げとし、楽しみのある「セミパブリック」をイメージしたスペースとしました。

共同生活室からは、六甲の山並みや桜の谷など、方角によってのびのびと気持ちの良い眺望が開けます。車いすでの寄り付きに合わせて、窓台の高さを少し低めに設えています。外断熱の入った壁の厚みによって、窓台は少し腰掛けたりもできる奥行きです。

ダイニングの向かいには談話スペースを設けました。一回り小さいセミパブリックです。空間サイズのバリエーションと、プライベートーパブリックのレベル設定の掛け合わせで、多様な居場所をつくることを心掛けました。

外部は非常時にも活用できるテラスが連続し、共同生活室の前は大きく張り出しました。内部床とフラットにつながり、車いすでも出やすいテラスは、日常生活の中で身近な外の居場所になります。

東側の1階は、松の緑の濃い陰影と桜の取り合わせが楽しめるテラスです。

個室には手洗と鏡のほかに収納や読書灯も設えました。大きめの面積と大きな開口でゆったりした印象です。ベッドサイドには濃い色合いの木を設えました。壁の痛みを抑え、室内に落ち着きが生まれています。

廊下はスタッフからの見通しを確保しながら、細かい凹凸によってプライベートの雰囲気をつくり、いくつかのベンチ作って、ちょっと腰を掛けられるセミプライベートのスペースを設けました。

デイサービスは勾配のある高い天井にハイサイドライトをとり、自然光を取り入れた明るい空間とし、天井の勾配で場所の変化を作りました。お昼には奥の小窓がカウンターとなってランチが提供されます。

入浴の時間がくつろげる楽しいものであるように願って、浴室はすべて光庭に面し、外の光と空気に触れられる窓を設けました。

廊下は地窓や高窓を工夫して、できるだけ自然光で明るくしています。緑や空が見えるなど、奥へ歩く際の不安感を減らすつくりとしました。

2階から見下ろす地域交流スペース。地域の方と一緒にコンサートやクリスマス会などイベントが計画されています。普段はラウンジのように設えて、訪問される方やご見学の方の対応などにも使われています。

中庭の夕景は、あたたかな光が地域交流スペースからあふれてきます。中庭側のお部屋からも空や光の変化が見えています。

エントランス周りには各部屋や共同生活室の光がこぼれています。地域の中の安心の光でもあります。

穏やかな光と多様な居場所のある大きな家は、住む方の健やかな毎日を支える空間と福祉の地域づくりへの貢献、職員の働きやすさが両立する、これからの福祉の場所です。

設計と並行してロゴもデザインしました。マークは建物の構成を表しています。暮らす人、働く人を考えて少しずつ傾けたプランをそのままシンボルとして、印象的なイメージができました。

(※)


 

 

 

 

 

お風呂に入る時間が楽しみになるように、浴室には「さくら、わかくさ、つき、そらの湯」と名前が付きました。名前に合わせてのれんをデザインし、宇奈月温泉総湯のご縁で金沢の染元平木さんに作っていただけました。今回もデザインでお願いした鮮やかに出ています。(※)

六甲最高峰トイレ

基本実施設計,意図伝達業務,兵庫県神戸市,2020.10
新築,鉄骨造(屋根CLTパネル),一部木造,平屋建,延床267.91 m2
公衆トイレ,休憩スペース,園地

総括意匠設計・意図伝達:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原、深川、田村)
構造設計・意図伝達:有限会社桃李舎
設備設計:長谷川設備計画
ランドスケープデザイン・意図伝達:株式会社エスエフジー・ランドスケープアーキテクツ
照明デザイン:株式会社加藤久樹デザイン事務所
建築施工:有限会社ビームス・コンストラクション
機械設備施工:アイオイ設備工業株式会社
電気設備施工:株式会社摩耶電気工業所
撮影:小川重雄(【※】のみofa)

地域材利活用建築デザインコンテストin兵庫 入賞(ひょうご木のすまい協議会)
ウッドデザイン賞2021 ソーシャルデザイン賞 受賞(ウッドデザイン賞運営事務局) 
日本空間デザイン賞2021 ショートリスト 選定
([一社]日本商環境デザイン協会 [一社]日本空間デザイン協会)
ティンバライズ T-1 ホームコネクター賞2020 受賞 (NPO法人 team Timberize)

 

 

神戸の都市の魅力の一つである六甲山の価値向上、環境整備の一環として、六甲山頂エリアに新設された公衆トイレ・休憩スペースと園地の計画です。2017年にプロポーザルで選定いただき、基本実施設計と意図伝達業務を担当しました。
敷地は六甲山の国立公園特別地域内にあたります。周辺の山並みに呼応するように折れつながる屋根が、大きな家具のようなベンチの上に軽々と浮かぶ、のびやかな空間をつくりました。木の大きなベンチの後ろにトイレ機能を持つようにつくった小屋部分は屋根と縁を切り、男女多目的を分けて配置したことで風と光のとおる気持ちの良い空間となりました。六甲の自然環境に調和するよう木や仕上材の色合いをコントロールしています。建物全体の高さを抑え、伏せるように自然の中に配置したことで、周辺の環境になじむ全体像としました。

CLTの薄く軽い屋根は、繊細な鉄骨柱によって空中に浮かび、シャープで繊細な軒先のラインを作っています。折れつながる事で、天井高さが場所によって変わって、空間に抑揚を作り出します。

足元には山際の自然を感じながらゆったりくつろげる大きなベンチを設え、その後ろにトイレがある構成です。屋根の両端下には同様の単独ベンチも設けました。下見板張りが連続するようにディテールをデザインし、大きな家具が集まって空間を作っているようにつくりました。ベンチは大きな台形とすることで、座面の奥行きや背の角度が多様に生まれ、そこでの休憩の居方のスタイルもまた多様に発生する仕掛けとなっています。屋根のタニの集まる部分からは雨水を集めています。折れつながる屋根は集水のための形でもあります。上下水道のない敷地で、気持ちよく安心して使えるトイレをつくりたいと、手洗い水は雨水を利用し、洗浄水は土壌微生物による浄化システムを採用して循環利用しています。

CLTの屋根版の水平接合部はGIR(グルードインロッド)を採用することによりつなぎ目を見せないおさまりになっています。CLTの最大幅にかかわらず大きな一枚の板として、おおらかですっきりとした屋根下空間を実現できました。大きな屋根の下に、ボリュームを分割して配置することで、谷側へも見通しが取れ、風通しの良いスペースです。屋根版 CLT は兵庫県産材指定のヒノキスギ、トイレ部分の外装材およびベンチは国産スギとし、一部は神戸市が森林維持の一環として伐採・保管する六甲山の間伐材を利用しました。

トイレの出入り口には引込型のドアを設え、夏季は開放し、冬季は凍結の対策として閉められるように作っています。

屋根とトイレ部分の外壁は縁を切り、その間を高窓とすることで自然の光を内部に取り入れています。
山頂付近は冬季は積雪もあり、気温も下がります。トイレブースは外壁に面さない室内の中央部分に配置して、冬季の気温低下の影響を避けています。間接照明を施して、天井の木の肌がきれいに見える工夫をしています。

【※】

南側の山頂を望むレストスペース。ベンチに深く寝そべって見上げると、軒先で切り取られる森のラインが、山頂側の新しい景観をつくっています。土間の曲線のおおらかで引き締まったラインが園地全体に気持ちの良い美しさを生んでいます。

段差やベンチ、屋根下のありかたが、多様な居方につながっています。敷地は六甲山脈の東端にあたり、最高峰から降りたところです。もとは砂利敷きで、時々駐車場に使われるだけの場所でした。

森の端部は、芝の園地からクサハラを経て植生をつなぎ、グラデーションのように作っています。クサハラ部分は種採集、育苗とステップを踏み、竣工後に現地へ苗を戻しています。

浅く折れつながる屋根を、周辺の緑の中に伏せるように配置しています。洗浄水や雨水の循環槽などはすべて土中として、大勢が休憩できる園地として広く確保しました。

24時間利用可能なトイレであり、市街地から近く車でのアクセスも可能なため、夜間の利用もあります。できるだけ気持ちの良い場所であるように、安心感と美しさを両立する照明デザインを丁寧に行いました。
内部から高窓を通してあふれ出る光と、外部からの光で屋根版のCLTの木の暖かみのある色をよりきれいに見せてくれています。クサハラプロジェクトは、プロポーザル当初からの提案で、六甲山系の草本類によって芝の園地から森への連続性を作りました。市民や利用者が環境の維持にかかわることで、山の環境を消費するだけでなく育てる動きにつなげたいところです。詳しくはこちら(タネトリワークショップ苗植付)でレポートしています。今はまだ小さな苗ですが、都市に近い山の環境維持のあり方を考えるきっかけになればと思います。

津山信用金庫勝山支店

基本実施設計監理,岡山県真庭市,2021.04
新築,木(CLT+在来)造,平屋建,延床108.27m2
事務所(銀行の支店)

総括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原,深川,田村)
構造設計監理:有限会社桃李舎
設備設計監理:株式会社アイ設計
施工:三和建設株式会社
写真クレジット:鈴木研一

ウッドデザイン賞2021 ハートフルデザイン部門 受賞 (ウッドデザイン賞運営事務局)
木材利用優良施設コンクール2021 優秀賞 入選 (木材利用推進中央協議会)

津山市に本店を置く信用金庫の支店です。ofaは、三和建設株式会社の設計施工チームに参加しました。木材産業の盛んな真庭市勝山地域において、地域産業の魅力を伝え、後押しするとともに、地域での木材活用のきっかけとなるよう、木材を活用した店舗を建設するプロジェクトです。CLTと在来木造を合わせた適材適所の木造で、信用金庫のこれからの姿をあらわす建築をめざしました。

建物はL型の平面を、一部折板としたCLTの壁と屋根で構成し、部分的に在来木造を取り入れて、適材適所の木造建築としました。ロビーは地域交流に活用したいとのお考えもあり、大きなCLTの壁で執務スペースの「守る」とロビーの「創る」を分けながらつないでいます。自由なプランをCLT の折板を用いて、木の表情を活かして、軽やかにつくっています。Tをプリーツのように折って、強度を上げるとともに、アイコンになる印象的な形としました。大きなCLTを内部は表しで用い、効果的に見せるデザインです。


これからの信用組合のあり方として、コンサルティングに力を入れていきたいとのお考えから、ロビーは広く、通りに面して開く形としました。執務室とロビーをつなぐカウンターまわりは、仕切りをなくしてゆったりと作ろうと、奥行きが深くなる部分は屋根をプリーツのように折って強度を上げ、先端を在来木造で支えました。プリーツが方向性を持つことで、南北に視線の抜けるのびのびした空間になりました。
屋根を折ったことで屋根版CLTはt120と薄くなり、軽快な印象を作っています。
奥へ広がるロビーは執務空間と大きなCLTの壁で仕切られています。安定感のある厚みのある木の壁です。金物は隠さずに見せるようにディテールを丁寧に調整しています。建った後も、建物の作り方がわかる構成です。
カウンター内側からは北側の山並みが、来客側からはプリーツの三角形から電車や緑の景色が見える、開放感のある接客スペースです。
接客カウンターもCLTの積層面が見えるように作りました。壁の小口はできるだけ見えるように構成し、CLTの厚みや木の重なり具合が見えるように気を配っています。 北側はCLTの屋根版を在来木造の軸組みが支えていることがよくわかります。ガラスを通して内外がつながる雰囲気は、まちに開くこれからの信金のポリシーを表しています。
暮れ始めると、北側の山並みがガラスに映り、その向こうに大きな木の壁が見えます。
夜には木の温かい色合いに満ちたロビースペースが見え、通りに信金の存在と、その場所がめざす温かさを伝えてくれます。すぐ南側を鉄道がとおる敷地。上空からの写真ではプリーツ部分の長さがよくわかります。この距離を1枚もののCLTで飛ばしています。それが両端だけで支えられているのは、大判のCLTとそれを折る建築の工夫のたまものです。
施工中には構造見学会も行いました。島根大学の学生さんや企画設計施工など建築の専門家など多くの方に見学していただけました。すぐそばを鉄道がとおる難しい敷地でのCLTの建て方も、丁寧な制作打合せと現場の手配でスムーズに進みました。

真庭市足温泉リノベーションプロジェクト(改修整備)

温泉施設改修設計監理,岡山県真庭市,2021.03,改修面積266.80m2

総括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原、深川)
設備設計監理:株式会社アイ設計
写真:ofa

岡山県真庭市の足温泉にある足温泉館の改修工事です。プロポーザルで選定頂いたプロジェクトです。
岡山の中山間地、旭川沿いにある足温泉は、つるつるした独特の泉質が特徴の温泉です。かつて、増える利用者に対応する目的で循環を取り入れて規模を拡大しましたが、泉質の特徴が薄まってしまっていました。今回のリニューアルは、その特別な泉質を大切にして「かけ流し」に戻すプロジェクトです。
設備機器はかけ流し化に伴って、全面的に更新しました。また、お湯と環境の本来の魅力を楽しんでいただけるように、湧出量に合わせて浴槽の容量を少し小さくし、湯に触れながら腰掛けられる段差をゆったり設けました。
温泉を出た後を過ごす時間も大切にしたいと考え、既存の畳スペースは壁を抜いて広々と風を通し、小さい浴室は休憩スペースに変更して光を取り込み、館内全体でゆっくり過ごせる場所にしました。
限られた自然の恵みを大切に使う、本当のお湯好きのための、コンパクトでも本当ののお湯を楽しむ温泉へのリニューアルです。

既存の浴室と廊下

既存浴槽にタイルで湯に触れられる居場所を追加して湯量を調整

照明や鏡など、効果の高い要素に絞って更新

湯量を抑えながら残した川沿いの露天風呂

小さな浴室を改修して作った木の休憩スペース

既存の窓を残して、廊下の壁も開放し、外の光を廊下まで導き入れます

 

真庭市湯原振興局・ふれあいセンター(移転整備改修)

市役所振興局+ふれあいセンター(改修移転整備)設計監理,岡山県真庭市,2020.03
既存改修部分(S造,2階建,1785.82m2)+増築(S造,平屋建,113.56m2)
事務所、図書館、ホール、交流スペース、住民活動支援(ワークショップ)

総括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原、深川)
構造設計監理:有限会社桃李舎
設備設計監理:株式会社アイ設計
照明デザイン:株式会社加藤久樹デザイン事務所
ワークショップ協力:納屋工房
写真クレジット:鈴木研一

振興局事務所の移転先として隣接する町民ホール「ふれあいセンター」が選定されました。そのプロジェクトにおいて、昭和60年竣工の既存建物を、事務所の移転に合わせて性能も機能も、今とこれからの湯原地域にふさわしい空間へリノベーションすることを提案して、プロポーザルで選定いただき、設計監理+住民活動支援に取り組みました。

既存建物内部 廊下と小さな部屋の分割されていて使い勝手も下がっていた

800人規模の大きなホールをコンパクトに整理して、その分図書館と交流スペースをゆったり作っています。川沿いの気持ちの良い環境を活かして、部分的に外へ居場所を拡張するように庇を張り出しました。待合や会議室、交流スペースなどは共用としてフレキシブルに運用されます。既存の光庭の周りに多様なスペースが展開する、全体が一つの「ふれあいセンター」になりました。これまでの公共複合施設に多かった、「隣接しているけれど交わらない」状況を、プランと市による条例の再整理を同時に行い、それぞれの施設がゆるく空間を共有することで、豊かで効果的に新しい場所を作ることができました。必要に応じて断熱を補強し、サッシを追加するなど、環境性能も向上しています。

設計開始と同時に住民活動支援として住民参加、中学生とのワークショップを企画実施しました。3+1回のワークショップを経て、地域の声を聞き、地域の次の活動を後押しするプロジェクトとしても取り組みました。

エントランスから交流スペース、光庭、振興局カウンターと図書館がつながってみえる

振興局カウンターと一般利用可の会議室、それらで共用できる待合

ホール前は普段は振興局の待合として利用し、イベント時はホワイエとなる

1951年築の木造2階建て旧湯原振興局と新しいテラスの重なる風景

本と気持ちよく過ごすためにある魅力的な場所 真庭市立湯原図書館

キッズコーナーはカーペット敷きでリラックスして本と触れ合える

旭川と山の緑を望める閲覧デスク

キッチンを備えた交流スペース

交流スペースを外へ拡張するテラス

席数をコンパクトに整理し、地域産木材で仕上げたホール

展示会などの際は、解放して使えるホール出入口

建物から漏れた光が庇軒天に反射して明るさを広げる

日暮れ以降も中の活動が重なって見え、ふれあいセンターの魅力を発信する

3回にわたって地域の方と一緒に考え手を動かしたワークショップ

 

改修の現場は、解体が始まってからわかることを、丁寧にスピーディーに反映しながら設計検討を重ねる必要があります。クライアントである市と、施工者、設計者が一体となって、次々に現れる想定外に、コンセプトを維持しながら粘り強く対応して、新しいふれあいセンターとして生まれ変わりました。

六甲最高峰トイレ新築工事_供用開始

六甲最高峰トイレ新築工事 基本実施設計,意図伝達業務,兵庫県神戸市,2020.11
上屋:鉄骨造(屋根版CLT)トイレ部分:木造 平屋建,267.91m2)
写真撮影:ofa

プロポーザルで選定頂いてから3年を経て、建物部分が供用開始となりました。
都市に隣接する国立公園六甲最高峰にふさわしく、自然に調和しながらも場所の特性を大切に、その魅力を最大限に活かす休憩スペースとして設計に取り組みました。
「クサハラとタニヤネ」のデザインをベースに、雨水を集めて利用する工夫やクサハラによる六甲の草原植生の創出などのチャレンジが形となっています。
(外構部分は雪の季節を避けて、来春の施工予定です)
鉄骨の柱で大判のCLTをつないで折れながらつながる屋根を支えています。穏やかに起伏する屋根のラインは六甲の稜線とも呼応する姿です。大きな庇の下は、お弁当にも休憩にも、雨の日の身支度にもつかえるゆったりした空間です。

南西に向いた休憩スペースは冬にはひだまりになります。供用開始は11月1日でした。秋のシーズンに間に合い、たくさんのハイカーに使っていただいています。

敷地は24時間利用可能なエリアにあります。六甲から見る神戸の夜景に似合う、夜の景観もデザインしました。

 

真庭市消防湯原分署(移転改修+増築設計監理)

消防署+保健福祉センター(改修移転整備)設計監理,岡山県真庭市,2020.03
既存改修部分(RC造,平屋建,823.63m2)+増築(S造,平屋建,268.07m2)

総括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子(担当:小原、深川、田村)
構造設計監理:有限会社桃李舎
設備設計監理:株式会社アイ設計
写真クレジット:鈴木研一

地域の安心で健やかな暮らしを支える、街の「安心安全のかなめ」としての消防署の移転計画です。既存の保健福祉センターを改修して機能をリフレッシュするとともに、一部を消防分署のスペースにあて、消防車庫部分は鉄骨造で増築しました。

以下の写真はofa撮影

築20年弱の保健福祉センターとして建てられた既存建物は立派なRC造

保健のための調理実習を想定して設計された既存調理室は学校の調理室のよう

消防と保健福祉センターの特殊な役割を重視して機能的なレイアウトとし、断熱改修をしっかりして働きやすい快適な業務環境をつくりました。
消防車庫は外からも消防車の存在がわかるように、保健福祉センターはカウンターがエントランスに向き合って訪れる方を迎えられるように、内部の調理室は料理教室から会議、パーティーまでいろいろな使い方ができるようフレキシブルに、地域の方に親しまれ使われる場所になるようデザインしました。
調理室はキッチンスペースにミーティングスペースを隣接し、廊下を挟んで隣の部屋からもお互いの活動が見える関係です。
楽しみながらグループで作業ができるように、大きなアイランドキッチンを設えました。
受付の場所はエントランス脇から正面に移動しま、開閉できる大きな建具を設えました。入口から見えやすく、来訪者を迎える配置とデザインです。保健福祉事務所は居ながら工事とし、執務スペースと受付は先行引き渡ししてスムーズに業務を継続していただくことができました。
消防車庫は大きな空間を鉄骨造で合理的にシンプルに構成しました。

ひととまちの魅力をつなぐ「かわのみち」_旭川サイクリングロード周辺施設設計

サイクリングロード休憩案内施設+住民活動支援(ワークショップ)+ロゴ+周知資料,岡山県真庭市,2019.03
グラフィック協力:SIRUSI

市内を流れる旭川に沿って勝山・久世・落合の三地域を結ぶ、サイクリングロードの周辺施設整備設計です。休憩スペースや家具、看板、路面サイン、東屋、ロゴ、マップなどをデザインしました。
ルート全長の中から、川を楽しめる気持ちのいい場所をいくつも選んで、場所ごとに大きさや高さの違う家具をレイアウトしました。地域の木をたくさん使っています。全長25㎞の短めルートなので、親子でゆっくり休み休みサイクリングして、それぞれの場所で「かわのリビング」のように過ごしてもらえたらと思います。


公園と川をつなぐ場所に大きなベンチとテーブル

ルート近くの見所やトイレを知らせるサインとベンチ

自転車をかけてもらえるのを待っているサイクルラック

このプロジェクトは、施設を設計するずっと手前、サイクリングロードの「意味」を市の方や地域の方と一緒に考えるところから、関わることができました。
サイクリングロードを、「ひととまちの魅力をつなぐ「かわのみち」」と位置付けて、川沿いに新しい魅力の場所を生むこと、「自転車」をひとにやさしいモビリティーと考え、歩く人・乗り物に乗る人・まちの交通の将来まで視野に入れて、町の新しい軸となるひとの流れを作ること、まちの方々と情報共有しながら、みちを育てるようにつくることを目指しました。



市の中で関係者に広くお声掛けしてキックオフミーティングを企画したり、まちの方々と意見交換ワークショップを行ったり。たくさんの方に関わって頂きながら進めることができました。
マップやロゴ、路面サインなどのグラフィックは、木テラスに続いてSIRUSIさん。シンプルで伝わるデザインです。


東屋は今後の計画案です。

河川や道路という土木的な存在が、まちとつながり、人の居場所になれるように、小さい要素を、共通するものと、場所ごとの考え、ひとつづつ丁寧に、関りを増やしながらデザインしていきました。
ルートは旭川・りんくるラインと名づけられました。

周辺施設整備という名前ですが、ロードバイクが走り抜けるサイクリングロードとはちがう、旭川ならではの「かわのみち」の環境のベースをつくったプロジェクトです。これからこの環境がどう育っていくか、楽しみにしています。

光と風のとおる家_H house renewal

兵庫県神戸市,住宅,改修,木(2×4)造
地上2階,106.8m2,2018

住宅・都市整備公団が一括開発した地域で、築30年ほどになる2戸1棟のテラスハウス型の枠組壁工法(2×4)住宅の改修プロジェクトです。
家族が育っていく時間に必要だった個室と廊下の組み合わせの枠を、いったん外して考え直しました。既存の構造を使いながら、家族の変化にあわせて空間構成を整理して、同時に外皮性能の向上をめざしました。
体にこたえる冬の寒さ、夏の暑さをきちんとコントロールしながら、子供たちが独立して余裕のできた空間をつかって吹き抜けをつくりました。明るく風通しよく、お互いに気配を感じながら、二人のときは二人なりに、子供たちや孫を迎える大勢の日はひろびろと、気持ちよく過ごせる家になりました。

木テラスー真庭市久世駅CLTモデル建築物ー

岡山県真庭市,公衆トイレ・休憩施設・サイクリングステーション,木(CLT)造
地上1階,69.79m2,2017
写真クレジット:鈴木研一

 Video for the exhibition ”When Form Speaks”@the Frac Centre-Val de Loire
Video”KITERASU project” click here
Video”KITERASU erection of framing”click here

材料も技術も、地域に持つ真庭市ならではのプロジェクトとして計画され、設計コンペで選定されたCLTモデル建築物です。新しい木の素材CLT(直交集成板:Cross Laminated Timber)の特性を活かし、可能性を見せる魅力的な木の空間をつくること、日常の中でその大きさや温かみや手触りを感じられること、建設プロジェクトが木のまちづくりにつながる事を目指してプロジェクトを進めました。
3枚の大きな壁で支える3枚の屋根、大きなはね出しの庇、壁の孔が構成の特徴です。間仕切やライニングまでCLTとし、全体が木の家具のような雰囲気です。
駅前のパブリックトイレとしてだけでなく、サイクリングステーションやまちの賑わいの起点として、気持ちのよい人の居場所となるよう、桜に面してゆったりしたテラスを設けました。CLTでベンチやサイクルラックも設置し、駅前を公園のように人が過ごせる広場として設えました。
住民のワークショップや愛称公募を経て、「木テラス」と名づけられて竣工しました。竣工式には多くの住民の方が、屋台や出し物、観客として参加され、木テラスの誕生を祝ってくれました。

総括意匠設計監理:ofa/小原賢一+深川礼子
構造設計監理:有限会社桃李舎
設備設計監理:長谷川設備計画
照明デザイン:クリップ
サインデザイン:SIRUSI

中国建築文化賞2020 意匠部門 (日本建築学会中国支部)
JIA中国建築大賞2017 一般部門 特別賞 (JIA中国支部)
ウッドデザイン賞2017「ソーシャルデザイン部門建築・空間分野」(ウッドデザイン賞運営事務局)

■CLTの特性を活かすシンプルで効果的な構成
大きな木版を精度よく製作できるCLTの特徴を活かし、できるだけ少ない「3枚の壁」で、できるだけ大きい「3m×12mの3枚の屋根版」を支えるシンプルで合理的な構造としています。2方向のはね出しや大スパンなど、それぞれの応力にあわせた構成の3層屋根パネルが有効に働きます。屋根は格子梁で、あわせて有孔壁を含む全体架構を有限要素法で解析することでCLTの特性を最大限に活用しています。部材数を抑え、現場での建て方は半日で完了することができました。

大版のCLTパネルをクレーンで吊り上げてそのまま架設。ダイナミックでスピーディーな建て方と、納まりへの丁寧な対応で、半日でピタリと組みあがりました。

竣工式にはたくさんの方がお店、出し物、観客として参加してくださいました。地域から誕生を祝福されているような、幸せな竣工です。

久世駅の利用者は主に学校に通う高校生。バスや迎えの車を待つ時間、駅と家の間のもうひとつの居場所になってくれたら、と思います。